2025.12.15
こんにちは、abcデンタルクリニックです。
近年、歯周病と全身の健康の関係がメディアでも取り上げられるようになり、「お口の健康が体の健康につながる」という考え方は少しずつ広がっています。そんな中、「人工透析を受けている人において、歯科を定期的に受診している方は、受診していない方に比べて脳・心血管疾患や感染症のリスクが低い」という研究結果が東京医科歯科大学(現 東京科学大学)から発表されています。
今回は、この研究内容を踏まえながら、歯周病予防の大切さについてご紹介します。
歯科に通う人ほど重大な病気のリスクが低い?
日本全国には人工透析を受けている方が多く、その年間の死亡率は決して低くありません。特に脳や心臓に関わる病気、また感染症は重大なリスクとなります。研究チームは、歯科を受診しているグループと全く受診していないグループに分け、その後の経過を比較しました。結果として、むし歯治療や歯周病治療、入れ歯の調整など何らかの治療のために歯科へ通っていた人、また定期的なメンテナンス目的で通院していた人は、受診していない人に比べて、脳心血管疾患や感染症の発生が少なかったことがわかりました。
歯周病が全身に与える影響
なぜ口の中の病気が、心臓や脳のリスクと関係するのでしょうか。歯周病の原因は、歯と歯ぐきの境目にたまる細菌です。この細菌が歯ぐきの炎症を引き起こし、血管内へ入り込むことで全身へ広がります。その結果、血管が狭くなったり、動脈硬化を進行させたりする可能性があることがわかっています。また、免疫力が落ちている方では、口腔内の細菌が肺や血液中へ入り、感染症につながってしまうことがあります。
治療だけでなくメンテナンスが重要
この研究では、むし歯治療や入れ歯の調整だけでなく、ただ「お口のメンテナンスのために通っていた人」でもリスクが低くなることが示されました。これは、歯周病を早い段階で発見し、重症化を防げることが大きな理由です。「痛くなってから行く場所」ではなく、「悪くなる前に行く場所」として歯科医院を利用することが健康維持につながります。
まとめ
歯周病はお口だけの病気ではなく、全身の健康と深く関わっています。今回の研究でも、歯科を受診している人ほど、脳心血管疾患や感染症の発生が少ないという結果が示されました。特に定期的なメンテナンスは、病気の早期発見・早期治療につながり、体の健康を守る一つの手段になります。これまで歯科医院は「治療に行く場所」と思っていた方も、ぜひ予防のために定期検診を受けましょう。
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