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赤ちゃんと親が食器を共有するとむし歯になる?

2025.10.01

こんにちは、abcデンタルクリニックです。 

 

子育てをしていると「同じスプーンや箸を使うと、親から子どもにむし歯菌がうつる」という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。昔から「食器の共有はNG」と言われてきましたが、近年の研究ではその考え方を見直す声も出てきています。今回は、親子で食器を共有することとむし歯リスクの関係についてご紹介します。

 

食器を使う前から始まっている細菌の伝播

近年の研究では、生後わずか4か月の時点で、母親から赤ちゃんへすでに口腔内の細菌が伝わっていることが明らかになっています。これは離乳食を始める前の段階、つまり食器を使う以前から親子間で細菌のやりとりがあるということです。赤ちゃんに頬ずりをしたり、キスをしたり、指をしゃぶった手が親の唾液に触れたりすることで、自然に細菌が移るのです。したがって、「食器の共有を避ければ感染を防げる」という考え方は、現実にはあまり当てはまりません。

 

むし歯は一つの菌だけで起こるわけではない

むし歯の原因としてよく知られているのが「ミュータンス菌」です。親から子へと感染することが確かめられており、確かにむし歯発症の一因にはなります。しかし、口の中には数百種類もの細菌が住んでおり、酸を作り出す菌はミュータンス菌だけではありません。多くの菌が複雑に関わり合うことで、むし歯が発生します。つまり、特定の菌を完全に遮断すればむし歯を防げる、という単純なものではないのです。

 

食器の共有とむし歯の関係を調べた研究

ある調査では、3歳の子どもを対象に「親と食器を共有していたかどうか」と「むし歯の有無」の関連性を検討しました。その結果、両者の間に明確な関係は見られなかったと報告されています。つまり、食器を分けても分けなくても、むし歯になるかどうかには大きな差がなかったのです。むし歯は食器の使い方よりも、砂糖の摂取頻度、歯みがきの習慣、フッ化物の使用といった日常生活の影響が大きいということがわかります。

 

本当に大切なのは毎日の習慣

むし歯菌の感染そのものを完全に防ぐことは現実的に難しいでしょう。それよりも大切なのは、菌が定着してもむし歯を発症させない環境を整えることです。甘い飲み物やお菓子をだらだら食べ続けないこと、毎日の歯みがきを親子で丁寧に行うこと、そしてフッ素入りの歯みがき剤を活用することが効果的です。また、定期的に歯科検診を受け、専門的なクリーニングやフッ素塗布を受けることもむし歯予防につながります。

 

まとめ

親子でのスキンシップや食器の共有は、日常生活の自然な一部であり、むし歯菌の感染を完全に防ぐことはできません。しかし、それを過度に気にする必要はありません。大切なのは、感染を恐れることよりも、むし歯を作らせない生活習慣を整えることです。食事やケアの工夫を通じて、子どもの健やかな歯を守っていきましょう。

 

投稿者:abcデンタルクリニック

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